日本にはないドローンデリバリー、中国はどのような規制と安全性で普及したか?

前回では美団のドローンデリバリーの動向について詳述しましたが、今回はSF Expressと京東のドローン活用事例に焦点を当て、中国の物流革命を牽引する両社の取り組みを深掘りします。都市から山間部まで、物流の未来がどのように変わっていくのか、その具体例を通じて探ります。
吉川真人 2024.09.02
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みなさん、おはようございます。順調に行けば9月3日からは出張で東京に滞在をしているので、美味しい日本料理を楽しみにしている吉川です。日本人の私が日本出張や日本旅行と口にするともはや日本人としてのアイデンティティが薄れかかっていることに気づきますが、ジョークで訪日日本人と称しております。

さて、前回の『中国はドローンデリバリーがすでに普及!市場規模や利便性を徹底解説』ではドローンデリバリーの中でも特にフードデリバリー領域で最前線を走る美団の北京や深圳での実例をもとに解説をしてみました。今回は中国大手物流企業SF Expressと大手EC企業京東のドローンの活用の事例を紹介していきます。

SF Expressのドローン配送

SF Express(順豊速運)は、中国最大の物流企業の一つであり、迅速かつ信頼性の高い配送サービスで知られています。近年、この巨人はドローン配送にも積極的に取り組み、物流の未来を切り開く存在として注目を集めています。その中核を担うのが、SF Expressの子会社である豊翼科技です。この会社は、ドローン技術を活用した大規模な物流ネットワークを構築し、特に深圳を中心に展開しています。

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豊翼科技のドローン配送は、急を要する場面での迅速な配送において顕著な強みを発揮しています。例えば、深圳東部の東西涌景区では、美しい海岸線が広がり、険しい地形を持つ観光地として知られていますが、この地域では従来の物流手段が限られていました。観光客はハイキングやアウトドア活動を楽しむ一方で、物資の補給が困難な状況に直面することがありました。豊翼科技のドローンは、この地域において物資の迅速な空輸サービスを提供し、観光客にとって欠かせない存在となっています。具体的には、観光客がQRコードをスキャンして物資を注文すると、10分以内にドローンが指定された地点に物資を届けることができます。

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続きは、3987文字あります。
  • 京東(JD.com)のドローン配送
  • 規制と安全性の課題
  • おわりに
  • One More Thing

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