価格競争の終焉か?中国外食デリバリー業界を揺るがす「品質競争」へのシフト
おはようございます。中国深セン在住の吉川です。最近は中国のヒューマノイドロボット企業への接触をしたいという相談を複数社から頂いており、親和性の高い会社の場合は積極的に案内するようにはしております。もしかしたら今の日本人の中ではアクセスがもっとしやすい日本人の一人かもしれません。
一方、最近はオフィスにこもって仕事をすることが多い上に、外が灼熱のごとく暑いのでフードデリバリーサービスを活用することが多く、ぶくぶくと太ってきました。このままでは豚の丸焼きとして中国のスーパーに並んでしまう勢いです。
そんな私の生活を支えてきた中国の外食デリバリー市場で、今、かつてない大きな変化が起きています。激しい価格競争が繰り広げられてきましたが、ついにその潮目が変わろうとしているのです。
京東の参入と激化する外食デリバリー競争
この数ヶ月、中国の外食デリバリー業界はかつてないほどの激変期を迎えました。その大きな転換点となったのが、今年4月11日に京東がフードデリバリーサービスに本格参入し、「百億補助金」を掲げて全面攻勢をかけたことです。これにより、美団とアリババ傘下の餓了么が長らく二強体制を築いてきた市場に、新たな巨大プレイヤーが加わり、競争は一気に白熱しました。
京東の参入後、美団は「クレイジー567」と称して15元(約300円)のクーポン配布や、メーデーの特別割引を実施。これに対抗するように、5月5日には餓了么と淘宝閃購が「0元免単」(ゼロげんめんだん)活動を開始し、「1億杯のミルクティーを無料で提供する」と発表しました。
この「0元免単」、あるいは「0元購入」とは、文字通り「実質的に無料で商品やサービスを購入できる」という、極めて過激な割引プロモーションを指します。
例えば、「25元(約500円)以上の注文で25元割引」といった形式や、「0.01元(約0.2円)で特定のミルクティーが買える」といった超低価格での提供が含まれます。消費者にとっては非常に魅力的である一方、プラットフォーム側が巨額の補助金を投じるか、または加盟店にその負担を強いることで成立する仕組みです。
こうした過度な競争の結果、5月13日には、中国の五つの政府部門が京東、美団、餓了么を召喚し、是正を求める事態に発展。しかし、7月に入ると各プラットフォームの外食デリバリー競争は再び激化。「0元購入」や「18元注文で18元割引」といったキャンペーンが再開され、消費者は2.5元(約50円)で21.5元(約430円)の朝食セットを購入したり、3元(約60円)でミルクティーを飲んだり、1元(約20円)で12本のミネラルウォーターを手に入れたりする事例が頻発しました。一部の消費者は、週末のうちに1週間分の食事をまとめて「0元購入」で注文するほどでした。
外食デリバリーの「0元購入」が全面停止へ
しかし、この過熱した競争に、ついに終止符が打たれることになりました。最近の動きで最も注目すべきは、外食デリバリープラットフォームによる「0元購入」プロモーションの全面停止です。これは、外食デリバリー業界における補助金競争が、ついに終息を迎えることを示唆しています。以前、美団の核心ローカルビジネス部門CEOである王莆中氏が
この記事は無料で続きを読めます
- プラットフォーム各社の「停戦」シグナル
- 過度な価格競争がもたらす弊害
- 「品質」を重視する新ビジネスモデルへの転換
- プロフィール
すでに登録された方はこちら