「無印良品」が中国で“無印良品”を名乗れない理由。24年に及ぶ商標争いの結末と、日本企業が学ぶべき現実
おはようございます。中国深セン在住の吉川です。
執筆しているただいま私は福建省・泉州に滞在しております。日本向け商品開発の一環としての出張中ではありますが、かねてより訪れたいと願っていた泉州の地を踏むことができ、大変嬉しく思っております。
泉州といえば、かつて「海のシルクロード」の一大拠点として栄え、華僑を多数輩出してきた歴史を持つ街です。大学時代、中国からの留学生に泉州出身の方がいたことをきっかけに、山に囲まれ、海に面したその地形ゆえに、古来より外に向けて商いを行う気質が育まれてきたという話を聞いたことがあります。実際に足を運んでみると、その地理的背景が持つ歴史的・経済的意味が肌で感じられ、海外志向の強さと商業センスを併せ持つこの街のダイナミズムに触れる貴重な機会となっています。
さて今日取り上げるテーマはみんな大好きな無印良品です(好きですよね?)
中国のオンラインショッピングモールで「無印良品」と検索してみると、妙な光景に出会います。
「MUJI無印良品」「無印良品」「無印良品natural mill」...似たような名称の商品がずらりと並び、どれが“あの日本の無印良品”なのか、すぐには判別がつきません。
こうした状況は単なるブランド表記の違いではなく、ある意味で「中国市場のリアル」を映し出すものです。
その背後には、日本のMUJIを展開する良品計画と、中国企業・北京棉田科技発展集団との間で24年間続いた長大な商標争いがあります。

並び立つ「2つの無印良品」
おかしなことに現在の中国市場には、2つの「無印良品」が存在しています。
ひとつは、英語表記「MUJI」を軸に展開する日本の良品計画。もうひとつは、中国語「無印良品」の名称を全面的に使用する北京棉田です。
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- 日本企業が学ぶべき“商標戦”の教訓
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