「動く」「教える」「なつく」Noetix Roboticsが描く“家庭ロボット”の新時代

私はいま、あるロボットの到着を心待ちにしています。その名は「Bumi(ブミ)」。清華大学発のスタートアップ Noetix Robotics が開発した、人型ロボットです。わずか9998元(約22万円)。これまで数百万円が当たり前だった人型ロボットを、一気に“誰でも手に届くもの”にしたこの挑戦は、中国のAI業界で大きな注目を集めています。
吉川真人 2025.10.27
読者限定

おはようございます。中国深セン在住の吉川です。

先日、X(旧Twitter)で「9998元(約20万円台)で人型ロボットを予約しました。順調なら来年3月に受け取れそうです」と投稿したところ、想像以上の反響をいただきました。

吉川真人🇯🇵深セン
@mako_63
娘のために中国のヒューマノイドロボットを買います。20万円くらいでiPhoneと変わらない笑
頭金だけ払っているので、来年3月には家に届きそう。

とうとう一般家庭でも買えるようになってきてますが、競争激しすぎる中国のことやからきっとこのロボが販売されるまでに他の会社も同価格帯で販売するね
2025/10/24 10:42
234Retweet 1004Likes

価格への驚き、「本当に家庭で使えるのか?」という疑問、そして清華大学発ベンチャーへの関心が一気に集まった実感があります。今日は、そのロボットを開発する NoetixRobotics(松延动力)について、創業背景と技術の要点、そして「なぜここまで安くできるのか」をニュースレター形式で整理してお届けします。

「消費者が手に取れる人型」を狙うNoetixRobotics

Noetix Robotics は、北京を拠点とする新進気鋭の人型ロボット開発企業。設立は2023年9月とまだ若いながら、すでに中国ロボティクス業界では最も注目を集めるスタートアップの一つとなっています。同社のメンバーは、清華大学や中国科学院(中科院)、浙江大学などの理工系トップ校の出身者たちで構成されており、電子工学・制御・AIアルゴリズム・構造設計など、ハードとソフトの両面で高い専門性を持っています。

この記事は無料で続きを読めます

続きは、4734文字あります。
  • 製品ライン:Dora/N2/Hobbs(人顔)という三本柱
  • 「1万元未満」のBumi(小布米):強烈な価格インパクト
  • なぜここまで安くできるのか(コスト構造のポイント)
  • イベント露出と“走って示す”技術哲学
  • 私の視点:来春に届くBumiで検証したいこと
  • まとめ:人型が“スマホ並みの話題”になる日は近い

すでに登録された方はこちら

読者限定
胃袋と愛国心のあいだで揺れる人たち―スシロー人気と「反日」ムードをどう...
読者限定
中国テックトレンド:35歳で引退する深センテック業界の裏ルール
読者限定
【中国テックトレンド】人型ロボット実用化を阻む「5つの壁」とは? 中国...
読者限定
【現地レポート】世界初!Kickstarter公式「INNO」旗艦店が...
誰でも
日中間の緊張最前線:日本首相の「台湾有事」発言と中国の強烈な「対日批判...
誰でも
深セン発!マルチモニターが蔦屋家電+に降臨〜なぜ私が「中国シリコンバレ...
誰でも
緊迫と協調の交錯:日中首脳会談から見抜く中国テックビジネスの5つの未来...
読者限定
BOTINKIT:AIが描く「食と人」の新しい関係