小米EV第二弾YU7、わずか1時間で29万台の予約獲得-中国EVマーケットの新たな勢力図
おはようございます。中国深セン在住の吉川です。
最近の中国テック業界では、生成AIからEV、スマートデバイスに至るまで、連日のように話題が飛び交っており、Xでもどのニュースを紹介しようか悩ましいほどです。ただ、今日ばかりはどうしてもこの話題を避けて通れません。そう、小米の新型SUV「YU7」のことです。
実は、YU7の発表会ではもうひとつ、個人的にも注目していた製品――Meta×Ray-Banに対抗するかのようなシャオミのAIグラスも発表されました。こちらもなかなか面白そうで、実際に体験してから改めて別の回でしっかり紹介しようと思っています。
さて今回は、そのYU7が発表からわずか3分で20万台という驚異的な予約台数を叩き出し、瞬く間に中国EV市場を揺るがす存在となった背景について、深掘りしていきたいと思います。
小米が6月26日に発表した新型SUV「YU7」が、発売直後に驚異的な受注実績を記録し、中国のEV業界に大きな衝撃を与えています。発表からわずか3分で20万台、1時間で28万9000台という予約数は、単純計算で約700億元(約1兆4000億円)の受注規模に相当し、これは中国A株上場企業の年間売上高ランキング200位に匹敵する数字です。参考までに、この規模は三一重工や北京銀行といった大手企業の年間売上高と同水準であり、一つの製品発表会としては異例の経済インパクトを生み出しました。

この現象は単なる一企業の成功を超えて、中国の消費者ニーズの変化と、従来の自動車メーカーとは異なるアプローチの有効性を示すケーススタディとして、世界の自動車業界から注目を集めています。特に、スマートフォン業界で培った製品開発力とマーケティング手法を自動車業界に応用した小米の戦略は、他の異業種参入企業にとっても重要な参考事例となっています。
雷軍の「半分の良い車」戦略が示す市場の本質
小米創業者の雷軍氏が採用したのは、完璧な車を作るのではなく「半分の良い車」を作る戦略でした。これは一見すると製品開発における妥協のように思えますが、実際には極めて戦略的な判断です。YU7は確かに魅力的な外観デザインと競争力のある価格設定を持つ一方で、車内空間や一部の技術仕様では他社製品に劣る部分もあります。雷軍氏自身も発表会で「後部座席で宿題をする」シーンについて「この場面は存在しませんね」と笑いながら認めたほどです。
しかしながら、この「不完全さ」こそが成功の鍵となっています。
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