中国フードデリバリーのゴーストキッチンを可視化で締め出す動き
おはようございます。中国深セン在住の吉川です。実は2月3日から2週間ほど日本に滞在します。今回は初めて妻と子どもの3人での滞在です。中国にいると、食事が用意できない日や、なんとなく外に出たくない日でも、フードデリバリーを開けば数十分で温かい料理が届きます。便利さが生活の前提になっているので、気づくと注文回数も増えています。
その感覚のままUber Eatsを開いたら、実家の近くのびっくりドンキーのチーズハンバーグが2000円近い表示になっていて、思わず二度見しました。この驚きは、日本が高いとか中国が安いとか、単純な物価比較をしたいわけではありません。むしろ、フードデリバリーが日常の中で担っている役割が、中国と日本でまるで違うことを実感した、という話です。
深センでは、昼休みになると注文が一斉に立ち上がり、ライダーが街を流れるように走ります。オフィス街も住宅街も同じテンポで昼食が配られていき、昼の街全体が配送のために動いているように見える瞬間があります。
ここまで頻度が上がると、外食は店に行くイベントというより、日々の仕事と生活の隙間を埋めるインフラになります。インフラになったものは、便利さが当たり前になるぶん、信頼が揺らぐと生活の前提ごと不安定になる。最近のゴーストキッチンをめぐる締め付けは、まさにその信頼が問われ始めた結果だと感じています。
まず美団が動いたゴーストキッチンを入口で弾く一镜到底
その象徴が、美団が打ち出した店舗の実在性チェックです。
報道によると、美団は2026年1月29日、店舗の実在性を確かめる一镜到底という核验を前面に出しました。新規に出店する店舗は、編集なしの連続動画を提出し、店頭の看板から営業環境、厨房の状況、関連資格までを一気通貫で映して示すことが求められます。動画が不十分だったり、虚偽が疑われたりすると、プラットフォーム側の処置対象になります。試験導入は8都市で、2026年内に全国へ広げる計画とも伝えられています。
ここでポイントになるのは、これは衛生指導というより、店舗の存在と責任の所在を入口で確定させる仕組みだという点です。フードデリバリーは、注文者が店舗の前を通らなくても成立します。だからこそ、極端に言えば、店の看板や所在地が曖昧でも売れてしまう余地が残る。
そこに乗っかったのが、いわゆるゴーストキッチン問題です。美団の一镜到底は、店が実在するのか、表示された住所と営業許可が整合しているのか、厨房が本当にその場所にあるのかを、動画という形で固定しようとしています。最初からここを固めれば、あとから揉める件数も、監督コストも下がる。プラットフォーム側の合理性としても筋が通っています。
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そもそもゴーストキッチンとは何か?
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