深圳ロボットバレーがCESで見せたフィジカルAIの接続口
おはようございます。中国深セン在住の吉川です。
三連休明けなので、今週は火曜日の朝にお届けします。私はいま日本に滞在中で、1月15日の朝に中国へ戻ります。
この1カ月の日本滞在では、本当にいろんな方とお会いできました。時間をつくってくださった皆さん、ありがとうございました。ニュースレターを読んでくださっている方とも実際にお会いできて、画面の向こうにいた読者が急に近くなる感じがあって、すごく良い時間でした。深センに戻ったあとも、またどこかでお会いできる機会を作れたらと思っています。
さて、今回のテーマはCES 2026です。行ってみたかったのですが、タイミング的に今回は難しく、現地で現物を見て判断する三現主義を貫けなかったのは正直くやしいところです。いつかは出展側として参加できる日が来たらいいな、という気持ちもあります。
とはいえ、今回のCESは深センのロボットバレー勢がまとまって存在感を出した、と中国側で大きく報じられています。本稿はそうした中国メディアの記事と企業発信を材料に、熱量は参考にしつつも、誇張を前提に温度を下げて読み解いたものです。断定しすぎず、どこが次の勝負どころになっているかに絞って整理していきます。
CESを起点に見たいのはヒューマノイドロボットではなく接続口
CESは米国の業界団体Consumer Technology Associationが主催し、今年は現地時間1月6日から9日にラスベガスで開催されました。
ロボット展示は毎年派手になりますが、今回の私の結論はシンプルです。主役がロボットの本体から、フィジカルAIを現場につなぐ接続口に移り始めたことです。ヒューマノイドロボットが歩く、踊る、作業するというデモは分かりやすい一方で、ビジネスとしてはそこがゴールではありません。むしろ、デモの先で止まらずに回り続ける仕組みがあるかどうかが、導入側にとっての判断軸になります。だから展示会の見方も、本体の派手さから、裏側の条件を見に行く方向へ少しずつ寄ってきます。
フィジカルAIという言葉を、難しくしないで言い換えると、AIが文章や画像を理解するだけでなく、実際に身体を動かして仕事を進める世界です。ここで言う仕事は、いきなり人間の代わりに全部やる話ではなく、現場の細かい工程の一部を安定して回すことから始まります。
スマホで言えば、端末の薄さや画面の綺麗さだけで勝負が決まらなくなり、OSとアプリの流通と修理網が勝負を決めたのと似ています。ロボットも同じで、本体のデモは入口に過ぎず、センサー、データ、学習モデル、運用の仕組みが回った側が強くなります。
言い換えると、買う側が欲しいのはロボットそのものというより、ロボットが止まらずに働くための一式です。そこに接続口の価値が集まっていきます。
<PR>
今回のテーマは接続口ですが、ニュースレターを書く自分の作業も、実は接続口だらけです。中国語の記事、企業発表、スライド、動画、チャットの断片を行ったり来たりしていると、いちばん時間を奪うのは調べることより、画面を切り替えることだったりします。そこで自分たちが作ったのがWisee Cockpit Monitor。Youtuberの戸田覚さんにレビューしていただいています。
15.6インチのモニターをマグネットでつなぎ、3画面セットと4画面セットを用意しています。ノートPCの画面も含めて最大5画面まで拡張できる設計で、信号はUSB-Cケーブル1本を軸にした構成になっています。執筆、調査、資料読み、翻訳チェック、図表確認を同時に走らせたい人には、かなり相性がいいと思います。
[WiseeLAB公式オンラインショップ]
販売は予約制で月次生産、月次出荷という形を取っており、保証は本体1年に加えて公式LINE登録で延長可能です。
価格や発送時期は変わる可能性があるので、最新情報は公式ページで確認してください。
深圳ロボットバレーという塊で出てきた意味
この接続口の話を考える上で、今回いちばん示唆があったのが深圳ロボットバレーという切り口です。21世纪経済報道は、深セン大学城周辺から留仙大道と地下鉄5号線沿いに、西麗、留仙洞へ伸びる一帯をロボットバレーと呼び、ここから複数社がまとまってCESに出たと報じました。企業が単体で海外に出るのではなく、クラスターとして存在感を出す。これができる地域は、技術の強さだけではなく、供給と連携の厚みがあることが多いです。
記事が挙げた企業には、RoboSense、DOBOT、PaXini、逐際動力、ENGINE AIなどが含まれます。重要なのは、スター企業の単発出展ではなく、下から上までの技術チェーンを一緒に持ち込んだように見える点です。本体だけではなく、目や手に当たるセンサーやモジュール、そこから生まれるデータ、モデルの更新、そして導入後の運用まで、ひと続きの連結として語れるかどうかが、フィジカルAIの勝負どころになります。ロボットバレー勢の出方は、この連結を前提にした出方に見えました。
この記事は無料で続きを読めます
- まず一番わかりやすい接続口は触って失敗しないこと
- 次の接続口はデータで現場の失敗を回収できること
- RoboSenseが示した接続口は手と目の同時アップデート
- Orbbecは手首の目を作りにきた
- DOBOTは家庭への入口を家事ではなく巡回に寄せた
- 逐際動力とENGINE AIは本体を海外の検証窓口に置き始めた
- 数字で現実に戻すと接続口が重要になる理由が分かる
- 日本企業がこの流れをどう使うか
- 吉川真人(よしかわ・まこと)|著者略歴
すでに登録された方はこちら