景気後退期の娯楽インフラとしての中国ネットカフェ再編
おはようございます。中国深セン在住の吉川です。
今年2度目の日本出張を経て、春節3日目にして深センに戻ってまいりました。デリバリーが全然走らず、車道は渋滞する気配がなく、通常30分かかる道が20分くらいで到着できるようになったり、高速道路が無料になったりと、テスラを乗り回す私にとっては天国になっております。
それはさておき、こういう祝日の「街の機能が一段落ちる感じ」に触れるたび、インフラって普段は意識されないけれど、止まると一発で生活が変わるのだなと思わされます。
日本で言えばネットカフェがまさにそれで、年末年始に弾丸で四国を回ったときも、元旦の朝焼けを見るために目的地近くの快活CLUBに助けられました。深夜に横になれて、シャワーが浴びられて、財布にも優しい。ああいう場所があるだけで行動半径が広がります。
同じ「インフラ化」が、いま中国でも別の形で進んでいるように見えます(ちょっと無理やりすぎたかな)。今回のテーマは中国のネットカフェです。

私が北京に留学していた頃、ネットカフェはもっと荒っぽい場所でした。クーラーがなく、外から丸見えで、上半身裸の男たちがソシャゲをしている。今思えば雑な記憶ですが、当時の空気感としては確かにそうでした。ところが春節で地方に人が戻るこの時期、ネットカフェは懐かしさの装置というより、景気の空気を映す装置として復活している、と感じさせる場面が増えています。
春節の帰省先で人が戻る場所

春節の帰省シーズン、地方の中小都市では、久しぶりに顔を合わせた男性たちがネットカフェに集まり、学生時代のように何時間もゲームをする光景が見られると言われています。成人して仕事や家庭を持った人たちが、わざわざ同じ場所に集まって同じゲームをするというのは、単なる懐古趣味に見えるかもしれません。
ただ、データがそれを「一部のノスタルジー」で片づけにくくしています。業界団体の統計として引用されている数字では、2025年の中国のネットカフェ経営主体数は12万2600社で前年比12.68%増、売上規模は1016.8億元に達したとされています。
2023年以降の2年間で新規出店数が少なくとも4万店増えた、という説明も見かけます。これらの数値は引用元の二次記事経由で流通しているものなので、一次統計の原表まで突き合わせたわけではありませんが、少なくとも「減らずに増える」方向に転じていること自体は読み取れます。生き残っているのではなく、増えている。増えている産業には、いまの消費者が選ぶ理由が必ずあります。
安い娯楽が選ばれる時代
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