2025年の中国ビジネス 信頼の設計に戻った一年
おはようございます。中国深セン在住の吉川です。と言いつつも今は日本東京におります。さて、2025年最後は、個別ニュースを並べるというより、今年の中国ビジネスと中国テック動向を貫いていた一本の線を、自分の実感も混ぜながら整理して締めます。結論から言うと、2025年は技術が進んだ年というより、信頼の作り方と境界線の引き方を作り直した年でした。ロボットもクルマも食も、そして外交まで、見事なくらい同じ方向に揺れました。
個人的には2月8日に娘が生まれました。日中ハーフの女の子で、名前は光煕です。日本と中国どちらでも自然に呼べるように、宇多田ヒカルの光と、清朝の康煕帝の煕を組み合わせました。とはいえ本音を言うと、いちばんのインスピレーションはチェンソーマンのクァンシーで、中国語名が光煕なんですよね。将来は、日本と中国を行き来しながら、自分の足で世界を広げられるアクティブな子になってほしいと思っています。
生まれてきてくれたことで、人生に色が増えたのはもちろんですが、仕事の意思決定も少し変わりました。派手さより、事故らない設計。目先の伸びより、後で揉めない責任分界。今年の中国の空気は、まさにそちらへ寄っていったと感じます。
信頼は工学になった ヒューマノイドロボットが現場へ降りていく速度
今年の深センは、ヒューマノイドロボットの話を避けて通れませんでした。動画で驚かせる競争から、納品と稼働の競争に入り、現場の会話が変わった一年です。何ができるかだけでなく、どの品質で、どの台数を、どの速度で出せるのか。導入後に止まったら誰が直すのか。安全事故が起きたとき責任はどこに落ちるのか。信頼を工学として組み立てるフェーズに入っています。
自分自身も今年は、ニュースを追うだけではなく、中国のロボット企業と実務で関わる機会が増えました。日本の大手企業を連れての視察や面談、商談化、展示会デモでの実装など、ロボットが現場に降りてくる瞬間を何度も見ました。深センのロボット関連協会とも連携が進み、企業紹介や一次情報が入るようになったのは大きいです。
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