新疆綿問題と成長鈍化:中国で苦戦するユニクロの現状
おはようございます。深セン在住の吉川です。深センは「中国のシリコンバレー」と呼ばれるほど発展を遂げた街ですが、気候は一年中温暖で、特に夏のような暑い日々が長く続きます。こうした環境に住む私にとって、快適な衣服選びは生活の質を大きく左右します。その中で私が愛用しているのが、ユニクロの「オーバーサイズエアリズムコットンシャツ」です。吸湿性と通気性に優れたこのシャツは、汗ばむ気候でも快適さを保ち、外出にもオフィスにも適した万能アイテムですよね。
しかし、ここ深センを始めとする中国ではユニクロの状況が変わりつつあります。一時期、中国市場で急成長を遂げたユニクロですが、近年では課題が山積し、成長が鈍化しています。本日は、ユニクロが直面している現状について、「新疆綿問題」「成長鈍化の背景」「平替(ピンタイ)」というキーワードを軸に掘り下げていきたいと思います。
H&Mの教訓:新疆綿問題がもたらした深刻な影響
2020年、スウェーデンのアパレル大手H&Mは、「新疆ウイグル自治区で生産される綿花には強制労働の可能性がある」として、その使用を中止すると発表しました。この声明は、中国国内で強い反発を引き起こし、中国政府や国営メディア、SNS上での厳しい批判が巻き起こりました。その後、H&Mは中国の地図アプリや主要なECプラットフォームから商品が締め出されるという、事実上の市場閉め出しを経験しました。

中国の逆鱗に触れるとビジネスで不利益でしかない。その点、イーロンマスク、ティムクック、ビルゲイツなど中国市場を重要視する会社のトップは中国が喜ぶ言葉を発するように気をつけている。もはや政治
H&Mの売上は急激に落ち込み、ブランド全体に深刻な影響を与えました。これをきっかけに、中国市場で活動する他の国際ブランドも「新疆綿」を巡る論争に慎重にならざるを得なくなりました。H&Mの事例は、中国市場において政治的・文化的問題がビジネスに与える影響の大きさを象徴する出来事として語り継がれています。
参考記事 「H&M」が中国のECサイトで閉め出し 背景にウイグル問題かhttps://www.seventietwo.com/ja/business/h-china-m
一方で、ユニクロはH&Mとは異なる対応を取りました。2021年以降、新疆綿に関する質問に対して「使用していない」と明言する一方で、人権問題や強制労働についての直接的な批判は避けるという、極めて慎重なスタンスを取っていました。このアプローチにより、H&Mのような即時的な制裁を免れ、中国市場でのビジネスを継続することができました。

しかし、2024年11月、ファーストリテイリングの柳井正社長がBBCのインタビューで「新疆綿は使用していない」と発言したことをきっかけに、状況が変化しました。このインタビューでは、「どこの綿であるかを明言するのは政治的な問題に発展する可能性があるため、これ以上は言えない」と慎重に言葉を選びましたが、中国国内ではこれが「新疆綿への不当な態度」と受け取られました。
その結果、中国のSNS「微博」では、ユニクロに対するボイコットを呼びかける投稿が急増。関連ハッシュタグ「ユニクロ創業者の発言に関する論争」には数百万人が反応し、議論は激化しました。一部のユーザーは、「ユニクロは傲慢であり、消費者を侮っている」として批判を展開し、他のブランドと比較してユニクロ製品を購入しないよう呼びかける動きも見られました。

新疆綿を巡る問題は、単なる企業イメージの問題にとどまらず、国際的な人権問題として扱われています。2022年には、アメリカ政府が新疆ウイグル自治区で生産された製品の輸入を全面禁止する措置を講じ、企業には強制労働の証拠がないことを証明する義務が課されました。この規制により、アパレル業界を含む多くの企業が供給網を再検討せざるを得なくなりました。
H&Mやナイキ、アディダスといったブランドも、新疆綿の使用停止を表明しましたが、中国国内では激しい反発を招き、同様の制裁を受けました。

これに対し、ユニクロは過去数年間、曖昧な姿勢を維持し、中国市場での影響を最小限に抑えようとしてきました。しかし、今回の柳井社長の発言により、ユニクロもついに論争の中心に引き込まれる形となっています。
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