世界を席巻するPOPMARTとLabubu─サンリオを超えた中国発IPの衝撃と日本市場への警鐘

POPMARTの時価総額がサンリオを超え、Labubuが世界中で社会現象に。中国発の新興IP企業がいかにして世界市場を席巻し、日本市場で存在感を強めているのか。その戦略と影響を徹底解説します。
吉川真人 2025.06.02
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おはようございます。中国深セン在住の吉川です。

本日のニュースレターでは、今、世界中で注目を集めている中国発のIPエンタメ企業「POPMART」について、最新の市場動向、成長戦略、そして日本市場への影響を詳しく解説いたします。特に、同社の看板キャラクター「Labubu(ラブブ)」が国際的に巻き起こしている現象的な人気ぶりを通じて、中国発ブランドがいかにしてグローバル市場に食い込んでいるのかを分析いたします。

POPMARTとは?ブラインドボックスのパイオニア

POPMARTは2007年に中国・北京で創業された企業で、ブラインドボックス(盲盒)という、中身が見えない小さな箱型パッケージにランダムなキャラクターが封入された商品を主力としています。この販売手法は、開封するまでどのキャラクターが出てくるか分からないというドキドキ感を消費者に提供し、コレクション性を高めています。

同社は、「IPの創出・商品化・運営」という3段階のビジネスモデルを軸に展開し、アーティストとの共同開発による独自IPの量産体制を構築しています。自社でIPをゼロから育てるだけでなく、外部のアーティストやデザイナーと契約し、彼らの作品をPOPMARTブランドとして販売するという柔軟かつ拡張性のあるビジネスモデルが特徴です。

代表的なキャラクターには、Molly、SKULLPANDA、CRYBABY、そしてLabubu(ラブブ)などがあり、それぞれ異なる世界観とファン層を持っています。特にLabubuは現在、グローバルな人気を獲得し、POPMARTの急成長を象徴する存在となっています。

サンリオを超えた時価総額:日本IP業界に突きつけられた現実

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続きは、5880文字あります。
  • Labubuの世界的な熱狂:“ぬいぐるみ革命”の主役
  • セレブ効果とSNSバイラル:Z世代の心を掴むLabubu
  • 日本市場における現状と課題:熱狂は始まっている
  • 転売問題とPOPMARTの対応策
  • POPMARTは一時のブームか?:人間の根源的欲求を満たす仕組み
  • 日本のIP企業が学ぶべき教訓
  • 私たちが提供する中国ビジネス支援

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