中国の消費者行動の変化が引き起こす高級ブランド業界の転換点:グッチの事例に見る未来

高級ブランド業界は、物質的な消費から体験重視の消費へと変化しています。グッチの業績低迷を例に、消費者行動のシフトとその影響を解説。ブランド戦略の再考が求められる時代に突入しています。
吉川真人 2025.03.03
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おはようございます、深セン在住の吉川です。先週はお休みをいただき、申し訳ございませんでした。実は、執筆しようと思っていた矢先、MacBook Airのキーボードとトラックパッドが突然動かなくなり、慌てて修理に出したんです。しかし、焦ってマンション近くの修理店に依頼したところ、まさかの展開に…
修理を頼んだ結果、キーボードとトラックパッドは無問題だったことが判明。実は、問題はチップにあったようですが、交換された部品について請求される羽目になりました。まるで健康な歯を抜く歯科医に出会った気分で、仕方なく消費者センターに連絡して、仲裁をお願いしました。今もトラックパッドは思うようにスクロールができなくなっております。

さて、話はガラッと変わりますが、今日は「消費者の動向の変化」についてお話ししたいと思います。特に、近年の高級ブランド業界を取り巻く状況を見ていると、消費者行動に大きなシフトがあることが浮き彫りになっています。この変化が、ブランド戦略や店舗運営にどのように影響を与えているのかを探る中で、ケリンググループの「グッチ」の事例は、非常に明確で興味深い指標となっています。

消費者の価値観の変化とブランドの変革

近年、高級ブランド業界は大きな転換期を迎えています。従来、消費者は高級ブランドを「社会的ステータス」の象徴として捉え、ブランドロゴやシンボルに大きな価値を見出していました。高級バッグやアクセサリーは、単なる物品以上の意味を持ち、購入することが一種の自己表現や社会的認知を得る手段とされていました。しかし、現在ではその価値観が大きく変化してきており、特に若年層の消費者においては、物質的な消費から、より実質的で体験重視の消費へとシフトしています。

この変化は、単なる一時的な流行に留まらず、消費者の生活全般にわたる価値観の根本的な転換を示しています。特に「シンボル消費」に象徴されるブランドのロゴやデザインが、社会的ステータスを示す手段とされることが一般的でしたが、今やその象徴性が薄れ、消費者はブランドの「本質的価値」や「体験価値」を重視するようになっています。これは、自己表現の手段としての消費から、より感情的・精神的な満足を得るための消費へのシフトとも言えるでしょう。

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続きは、3125文字あります。
  • グッチの中国市場の業績低迷と消費者の変化
  • ブランド戦略の転換と消費者の反応
  • 物質的な消費から体験重視へのシフト
  • 結論

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