中国フィジカルAIと日本をつなぐために、株式会社ロボットワークスを創業しました

中国フィジカルAIと日本企業をつなぐため、株式会社ロボットワークスを創業しました。深センで見てきたロボット産業の現場、日本企業との接点、そして表敬訪問で終わらない現地視察への思いをお伝えします。
吉川真人 2026.06.08
誰でも

おはようございます。深セン在住の吉川です。

6月3日に誕生日を迎えましたので、少し人生の棚卸しをしていました。ちょうど日本に一時帰国しており、母親とバイクで二人乗りで焼肉食べに行ったり、打ち合わせをしたり、会社の手続きを進めたりしながら、少し人生の棚卸しをしているような時間を過ごしています。

誕生日というのは不思議なもので、普段は目の前の仕事に追われていても、この日だけは少しだけ立ち止まり、「去年の自分は何をしていたのか」「これから何をしていきたいのか」と考える時間になります。

そして今回、あらためてご報告があります。今年4月に、株式会社ロボットワークスを創業しました。実はここ最近、私の投稿や署名、文末に「株式会社ロボットワークス」と入っていたことにお気づきでしたでしょうか?

あれは単なる気分転換ではなく、地味に伏線でした。4月の設立以降、しばらく水面下で準備を進めており、今回の一時帰国中には銀行口座の開設や各種手続きなど、会社として本格的に動くための土台づくりを進めていました。

青色メガバンクの“深センスピード”

その中で少し驚いたことがあります。いわゆる青色のメガバンクに法人口座を申し込んだところ、申し込みからわずか1.5日ほどで審査が通りました。正直、かなり驚きました。

日本の銀行というと、手続きが遅い、確認が多い、紙が多い、という印象を持たれがちで、私自身もどこかでそう思っていました。ところが今回は、想像以上に早かったので、「これ、深センスピードやないか」と声出してしまいました。担当者の方、もし聞こえたらすみません。

普段は深センを拠点にしているので、どうしてもスピード感の基準が中国寄りになります。深センでは、昨日なかった店が今日できていて、先月話題になった技術が今月にはもう別の会社から似たような形で出てくるようなことが普通にある仁義なき戦いが常に繰り広げられています。修羅の街です。

ハードウェアの試作も、部品調達も、工場とのやり取りも、良くも悪くも前に進む速度が異常に速い。もちろん、その分だけ雑な部分もありますし、後から整える前提で走っているようなところもあります。ただ、何かを始めるときの初速という意味では、深センには独特の迫力があります。

その感覚に慣れていると、日本の手続きはどうしてもゆっくりに見えます。しかし今回、良い意味でその印象を裏切られました。銀行口座が早く開けたからといって、会社が成功するわけではありません。ただ、物事が前に進み始めるときには、こういう小さなスピード感が妙に嬉しいものです。事業は大きな構想だけでは動きませんからね。既に売上ができているので、法人口座町の各社様、大変お待たせしておりますが引き続きお待ちください。

なぜ今、株式会社ロボットワークスなのか

さて、ここからが本題です。なぜ今、株式会社ロボットワークスを作ったのか?

理由はシンプルです。中国のフィジカルAI、ロボット、AIハードウェアの産業が、日本企業にとっても現実の事業機会になり始めているからです。決して日中関係が悪化したとか日本に本帰国するわけでもありません。

私はここ数年、深センを拠点に、中国のハードウェア、ガジェット、ロボット、AI、サプライチェーン、越境ビジネス、広告、日本市場展開支援など、かなり幅広い領域に関わってきました。自動販売機、ガジェット、LED広告、AIハードウェア、ロボット、日中間の事業開発。振り返ると、かなり雑多に見えるかもしれません。

中国人のビジネスマンを見習って一つの領域にこだわりすぎず色々小さく試してみるという姿勢を学んでアウトプットするいわばセルフ実証実験を行なっておりました。ただ、自分の中では一つの線でつながっています。それは、中国の技術、製造、スピード、サプライチェーンを、日本の市場や課題にどう接続するかというテーマです。

特にこの1〜2年で、中国のロボット産業を見る目は大きく変わりました。以前は、ロボットというと展示会で派手なデモを見せるもの、未来感のある動画で注目を集めるもの、という印象が強かったかもしれません。もちろん今でも、見せ方が非常に上手い会社は多いです。中国の展示会に行くと、二足歩行ロボットが踊り、ロボットハンドが卵をつかみ、配送ロボットが会場内を走り、来場者はスマホを構えて動画を撮ります。未来の入り口に立っているような感覚になります。

しかし、私が今面白いと思っているのは、その派手なデモそのものではありません。むしろ、その裏側でロボットを支える産業の部品が揃い始めていることです。ヒューマノイドロボット、配送ロボット、清掃ロボット、工場向けロボット、ロボットハンド、減速機、センサー、バッテリー、モーター、AIモデル、VLA、ワールドモデル、シミュレーション、データ収集、量産工場。こうした要素が、点ではなく面としてつながり始めています

ロボットは単体の製品に見えますが、実際には総合格闘技です。見た目のデザインだけでも駄目で、AIだけでも駄目で、部品だけでも駄目です。動く、つかむ、見る、判断する、充電する、壊れたときに直す、量産する、現場に入れる、価格を成立させる。この全部がつながらないと、事業にはなりません。中国では、この「全部をつなぐ力」が急速に強くなっていると感じています。

もちろん、すべてが本物というわけではありません。ここは非常に重要です。展示会のデモは派手でも、量産となると急に弱い会社もあります。技術は面白くても、日本市場への理解がほとんどない会社もあります。資金調達のニュースは華やかでも、実際の納品実績を見るとまだ限定的な会社もあります。逆に、あまり表には出ていなくても、部品や製造の部分で非常に強い会社もあります。表に出ている情報だけを見ていると、ここを見誤ります。

日本企業が中国のロボット企業やフィジカルAI企業を調べようとすると、情報自体はたくさん出てきます。ニュースもあります。展示会レポートもあります。SNS上の動画もあります。中国語の資料も大量にあります。

ただ、その情報が本当に現場で使えるのか。どの会社が量産に強いのか。どの技術がすでに導入可能で、どの技術がまだデモ段階なのか。日本市場に耐えられる品質、法規制対応、保証、説明責任、サポート体制があるのか。ここは、表から見える情報だけでは判断しにくい部分です。

日本企業と中国企業の間にある“ズレ”

一方で、中国企業側も、日本市場を十分に理解しているとは限りません。中国側から見ると、日本市場は魅力的に見えます。価格も比較的高く、品質の良い製品が評価され、長期的な取引になれば安定する可能性もあります。

しかし実際に入ろうとすると、想像以上に細かい確認が入ります。契約、保証、PL、PSE、技適、電波、個人情報、導入後の運用、アフターサービス、販売代理店との関係、説明資料の作り方、展示会での見せ方、メディア対応。中国で通用するやり方をそのまま持ってきても、日本ではなかなか前に進みません。

ここに大きなズレがあります。日本企業は中国企業に対して、「技術はすごそうだけど、本当に大丈夫なのか」と感じます。もちろんチャイナリスクも感じる会社は少なくありません。

一方、中国企業は日本企業に対して、「なぜこんなに確認が多く、意思決定が遅いのか」と感じています。どちらが正しい、どちらが間違っているという話ではありません。前提が違うのです。スピードを重視する市場と、信頼性や継続性を重視する市場では、同じ商品でも見え方が変わります。

株式会社ロボットワークスがやりたいのは、このズレを埋めることです。単に「中国のロボット企業を紹介します」という会社ではありません。日本企業が中国のフィジカルAI、ロボット、AIハードウェア、サプライチェーンをどう活用できるのか。中国企業が日本市場に入るときに、どこでつまずき、何を準備すべきなのか。日本の現場課題と、中国側の技術や供給力をどう接続すれば、実際の事業になるのか。そこを考え、動き、つなぐ会社にしていきたいと考えています。

日本では今後、フィジカルAIやロボットへの関心は確実に高まっていくと思います。少子高齢化、人手不足、熟練人材の引退、物流や建設現場の負担増、地方産業の担い手不足。こうした課題は、もはや一部の業界だけの問題ではありません。

製造業も、小売も、物流も、介護も、農業も、飲食も、サービス業も、人手不足と生産性向上の課題を抱えています。そこでロボットやAIを活用できないかという話は、今後ますます現実的になっていくはずです。

ただし、「ロボットを入れればすべて解決する」という話ではないことです。ロボットは魔法の杖ではありません。むしろ魔法を教え込む必要があります。現場に入れるには、作業工程の見直し、導入後の運用、保守、教育、費用対効果、責任範囲の設計が必要です。人間がやっている作業をそのままロボットに置き換えようとしても、うまくいかないことが多いです。むしろ、ロボットが動きやすいように現場の側を少し変える必要があります。これは、中国企業の技術だけでなく、日本側の現場理解も必要になる部分です。

具体的にお手伝いできること

だからこそ、株式会社ロボットワークスでは、単なる情報提供ではなく、現場課題と技術の接続を重視していきたいと考えています。

具体的には、中国ロボット企業、フィジカルAI企業の日本市場展開支援、日本企業向けの中国ロボット企業・技術・サプライチェーン調査、深セン・上海・杭州・北京などのロボット企業、展示会、工場視察の企画、製造・物流・建設・小売・介護・サービス業などの現場課題に合わせた技術探索、中国企業との代理販売、PoC、共同事業、提携交渉の支援、中国のバリューチェーンを活用した新規事業立ち上げ支援、フィジカルAI・ロボット領域のレポート作成、講演、勉強会などを想定しています。

目下、特にやっていきたいのは、単なる表敬訪問で終わらない現地視察です。有名企業を訪問して、会社紹介を聞いて、会議室で写真を撮って帰る。もちろん、それにも一定の意味はあります。現地に行かなければ感じられない空気もありますし、経営者や担当者が直接見ることで、社内の議論が前に進むこともあります。ただ、本当に大事なのはその後です。

その企業は自社の事業にどう関係するのか。どの技術はすぐ使えそうで、どの技術はまだ数年かかりそうなのか。現場に導入するとき、どこで詰まりそうなのか。日本市場に持ってくる場合、誰が売り、誰が責任を持ち、誰がサポートするのか。相手企業は本当に長期的に付き合える相手なのか。価格は成立するのか。品質は安定するのか。契約や保証の考え方は合うのか。そこまで見ないと、視察は未来っぽい体験で終わってしまいます。

せっかく中国まで行くのであれば、「中国テックすごかった」で終わるのではなく、「次に何を検討すべきか」が見える視察にしたいし、訪問先の知名度だけでなく、自社の課題との接続を重視した視察にしたいです。

展示会で目立っている会社だけではなく、必要に応じて部品メーカー、工場、システムインテグレーター、販売代理店、研究機関、スタートアップも見に行きます。そうすることで初めて、中国のロボット産業を単なる見学対象ではなく、自社の事業機会として捉えられるようになると思っています。ただのツアーコーディネーターをしたいわけではなく、日本企業が中国の現地現物現実を理解するために必要なステップだと信じているからです。

私自身、これまで中国ビジネスのきれいな部分だけを見てきたわけではありません。スピードがある一方で、契約や権利、品質、責任範囲、意思決定、撤退ラインを曖昧にしたまま進めると、後からかなり苦労することもあります。「あれ?マルチモニターの事業やってたよね?」と頭にクエスションが浮かんだ方は鋭いです。これに関しては直接お会いされた方には何が起こったのかをお伝えいたします(企業秘密)。

中国の技術やサプライチェーンを活用するには、現地のスピードに乗る力と、冷静にリスクを見る力の両方が必要です。この両方を、自分自身の経験として持てたことは、これからの仕事において大きな財産になると思っています。

株式会社ロボットワークスは、中国のフィジカルAIやロボット産業の情報を、日本語でわかりやすく紹介するだけの会社ではありません。もちろん情報発信も続けていきますし、レポートや記事、講演、勉強会も重要な活動になると思います。

ただ、それだけで終わるつもりはありません。日本企業が実際に動くための調査、視察、商談、提携、PoC、代理販売、新規事業づくりまで、できる限り現実の事業に近いところで関わっていきたいと考えています。

まずは気軽にご相談ください

中国のロボット産業やフィジカルAIに関心がある方。中国企業との提携や代理販売を検討したい方。深センや中国各地のロボット企業、AIハードウェア企業を視察したい方。日本の現場課題に合う省人化ソリューションを探したい方。中国のサプライチェーンやバリューチェーンを活用して、新規事業を立ち上げたい方。

レポート作成、講演、勉強会、リサーチ、事業開発、現地アテンドなど、何か一緒にできそうなことがあれば、ぜひお気軽にご相談ください。

また、仕事の相談だけでなく、「一緒に何かできそう」「手伝えることがあるかもしれない」「むしろ働きたい」くらいの温度感でも大歓迎です。ロボットワークスという名前ではありますが、ロボットだけを扱う会社に閉じるつもりはありません。

中国の技術、製造、AI、ハードウェア、サプライチェーン、日本市場の接点で、面白いことができるのであれば、幅広く可能性を探っていきたいと思っています。

Our door to dialogue remains open.

対話への扉は開かれています。開かれている扉は、開いているということです。小泉進次郎構文のようになりましたが、要するに、まずはお気軽にご連絡くださいということです。

株式会社ロボットワークスは、中国のフィジカルAI、ロボット、AIハードウェアの現場知見を活かし、日本企業の新しい挑戦を支援していきます。ここから少しずつ、面白い仕事を作っていければと思っています。

プロフィール

吉川真人 / Makoto Yoshikawa
株式会社ロボットワークス 代表取締役
吉川國際貿易諮詢有限公司 代表

深センを拠点に、中国のロボット、フィジカルAI、AIハードウェア、ガジェット、サプライチェーン領域の情報発信・事業開発・日本市場展開支援を行っています。
同志社大学卒業後、北京への留学、ベトナムでの法人営業・Webマーケティング経験を経て、2019年より深センを拠点に活動。これまで中国企業の日本市場進出支援、日本企業向けの中国企業調査、OEM/ODM開発支援、ガジェット販売、LED広告代理事業、深セン企業視察、日中間の事業マッチングなどに関わってきました。

現在は、株式会社ロボットワークスの代表取締役として、中国のフィジカルAI、ロボット、AIハードウェア領域の現場知見を活かし、日本企業の新規事業開発、技術調査、現地視察、提携・代理販売、PoC、レポート作成、講演・勉強会などを支援しています。

中国のロボット産業やフィジカルAIに関心がある方、中国企業との提携や代理販売を検討している方、深センや中国各地の現地視察を検討している方は、お気軽にご相談ください。

無料で「吉川真人の中国ビジネストレンド」をメールでお届けします。コンテンツを見逃さず、読者限定記事も受け取れます。

すでに登録済みの方は こちら

読者限定
深セン龍崗区「ロボット大道」全解説─法律AIから介護ロボットまで、日本...
読者限定
「メイドインジャパン」は、もう国籍ではなく設計思想。大阪万博EVバス騒...
読者限定
深センに押し寄せるロボット視察団2.0 日本企業がお金を払って見に来る...
読者限定
China Travel 1.0→2.0~外国人旅行と都市型レジャーの...
読者限定
深センのロボット展示会が変わった─500社が集まった現場で見えた、日本...
読者限定
人類のハーフマラソンの記録を破ったHonor製ロボットが50分26秒で...
読者限定
35歳の壁はAIでさらに高くなる...中国テック人材が向かう次の職場と...
読者限定
「返品するなら地球に払え」─ 返品率7割のPatagoniaが中国EC...