イオンのスーパーの荷物を積む日本のロボットと中国のロボットに仕事を教える人

イオンの物流拠点で、店ごとに異なる荷物の仕分けと積み付けが自動化されました。中国では、ロボットのデータを集め、訓練する仕事が職業分類に加わっています。運ぶ、つかむ、積む。その先で人にどんな仕事が残り、何が増えるのか。日本の現場と中国の動きをつなげて考えます。
吉川真人 2026.11.02
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おはようございます。中国・深セン在住の吉川です。昨日より深センのある広東省日本人野球のリーグ戦が開催され、お隣の中山市のパンダ球場へ行って参りました。1番センターで出場し、1打席目からフェンスまで到達するレフトオーバーを放ち、3塁打で止めておけばいいところを欲張ってホームベースに突っ込んだら、見事に足が回らずにアウトになりました。今年3回目のランニングホームランならずで無念です。

その後の打席では時速120kmくらいのデットボールを右ふくらはぎに喰らいこみ、走れなくなり、見事に故障者リスト入りです。フィジカルAI時代においてフィジカルを鍛える重要性を学ぶ反省のある日曜日となりました。

さて、そんなはやりのフィジカルAIですが(無理やり)、今回は起点は中国の話題からではなく、日本のスーパーを取り上げます。
スーパーで飲み物やお菓子を買うとき、その箱を誰が積んだのかまで考えることは、あまりありませんよね。けれども売り場に届くまでには、店ごとに商品を分け、大きさの違う箱を崩れないように積む仕事があります。

2026年10月29日、イオンとMujinは、その仕分けから積み付けまでを自動化した物流拠点の本稼働を発表しました。店内のバックヤードではなく、各店舗へ商品を送る物流センターのニュースです。

この発表で私が気になるのは、機械に仕事を任せるために、人が何を準備するのかという点です。中国では、ロボットのデータを集め、訓練する仕事も職業分類に加わりました。日本の物流現場と中国の動きを手掛かりに、導入する側に必要な準備を考えます。

中国のロボットを調べたり、現地で実機を確かめたりしたい方は、ロボットワークスのホームページもご覧ください。調査・企業視察やOEM・ODMの支援内容をご紹介しています。

物流センターで、箱を積む仕事が変わる

図1|事前の積み付け計画と、3Dビジョンによる状態確認・動作制御。Mujin・イオンの発表を基にロボットワークス作成。箱の混載を示す模式図で、実設備の形状・配置や学習方式を再現したものではありません。

図1|事前の積み付け計画と、3Dビジョンによる状態確認・動作制御。Mujin・イオンの発表を基にロボットワークス作成。箱の混載を示す模式図で、実設備の形状・配置や学習方式を再現したものではありません。

舞台は、埼玉県川口市の「イオン川口東XD」です。

イオンとMujinの発表では、都市型の小型食品スーパー向けに、店舗ごとに異なる商品を仕分け、カートラックへ混載する一連の工程を自動化しています。Mujinは、ロボットの動きを知能化し、物流現場の自動化に取り組む企業です。

今回の「混載積み付け」では、大きさや重さの異なる箱を組み合わせて積みます。届け先の店が変われば、商品の組み合わせも変わります。同じ箱を、毎回同じ位置に置く仕事より、考える条件が増えます。

例えば、重い飲料の箱と、軽くてつぶれやすい商品の箱を一緒に運ぶとします。空いている場所へ順番に置けばよい、というわけにはいきません。下の箱が耐えられるか、積んだ後に傾かないか、次に置く箱の場所を残せるか。人なら経験で補っている判断を、機械で扱える条件にする必要があります。

引っ越しで段ボールを積んだことがある方なら、少し想像しやすいかもしれません。「入ったからヨシ」と詰めた後に、下の箱が取り出せなくなる。あれを毎日の出荷で起こすわけにはいかないんです。

今回の発表では、積み方を事前にシミュレーションし、作業中は3Dビジョンで積載状態を確認すると説明しています。計画した通りの位置に箱がない場合も、その時点の状態に応じて動きを制御する仕組みです。

毎回少しずつ条件が違う作業を、どう扱うかが読みどころです。

「運ぶ」と「つかむ・積む」は別の問題

図2|移動から受け渡し、ハンドリング、出荷までを一連の作業として整理。Mujin・イオンの発表を基にロボットワークス作成。矢印は作業順序であり、実設備の配置を示していません。

図2|移動から受け渡し、ハンドリング、出荷までを一連の作業として整理。Mujin・イオンの発表を基にロボットワークス作成。矢印は作業順序であり、実設備の配置を示していません。

荷物を目的地まで運べても、それで作業が終わるとは限りません。台車から箱をつかみ、向きを変え、次の設備が受け取れる位置へ置く。こうした物の扱いを、ハンドリングと呼びます。

台車が正しい場所に到着していても、箱の向きが逆なら、次の設備で扱えないかもしれません。ロボットアームが箱をつかめても、その箱を先に置くと、後から大きな箱が入らなくなる場合もあります。部分ごとに成功していることと、出荷が最後まで終わることは違います。

店内のバックヤード作業なら、多少ゆっくり動いてもよさそうに思えます。ただ、必要な速さは、処理する物量と締切によって変わります。閉店後に片付けばよい仕事と、出荷時刻までに終える仕事では条件が違うからです。

見るべきなのは、最高速度より「必要な量を、期限までに、安定して処理できるか」です。箱一つを運ぶ時間に加えて、充電や人の通行待ち、エラーからの復旧も含めて考えます。速さを優先して商品を傷めても困ります。扱う商品、時間、失敗時の対応はセットです。

イオン川口東XDでは、WESという倉庫運用管理システムが、ロボットアームや搬送設備だけでなく、人への作業指示も管理するとされています。機械を一台ずつ動かす話から、設備と人が一つの出荷作業として連携する話へ広がっています。同発表・設備と人の連携

私なら実機を見るとき、「この工程はどこまで終わりますか」と聞きたいです。箱を積むところまでなのか、積み損ねた箱を取り除き、作業を再開するところまでなのか。人が担う範囲が分からなければ、人員配置も費用も見積もれません。

日本で中国製ロボットを扱う場合にも、この見方は役立ちます。移動、把持、積み付けを別々に確認したうえで、受け渡しの部分を誰がつなぐのか。そこが曖昧だと、良い機械を集めても、現場には人が付きっきりになる作業が残ります。

中国では「ロボットに教える人」も職業分類に

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  • 現場の「当たり前」を、判断できる条件へ
  • 最初に決めたいのは、任せる仕事と合格条件
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