深センのタクシー運転手はなぜロボタクシーを恐れないのか—東京100台の先にある1万台の世界
おはようございます。中国深セン在住の吉川です。
先日、深センで乗ったタクシーの運転手との会話をXに投稿したところ、思った以上に大きな反響がありました。聞いたことはとてもシンプルです。
「ロボタクシーが増えていますが、自分の仕事がなくなる危機感はないんですか?」
答えは即答で、「ないよ」でした。

ちょうど日本では9月15日、GO、Waymo、日本交通の3社が、2027年中に東京で自動運転レベル4の完全無人タクシーによる商用運行を始め、段階的に100台規模まで増やす計画を発表したばかりです。日本でもいよいよ、ロボタクシーが海外で起きている話ではなくなろうとしています。
GO、Waymo、日本交通 自動運転タクシー商用化の実現に向けて合意(GO株式会社、2026年9月15日)
https://goinc.jp/news/pr/2026/09/15/6pzjypdxzuza8kawb2ocfg/
今回はこの深センのタクシー運転手との会話を起点に、日本で100台のロボタクシーが走ることは何を意味するのか。そして、それが100台ではなく1万台になったとき、タクシードライバーの仕事はどう変わるのかを考えてみたいと思います。
『淘汰されるのは人間ではなく職種だ』と運転手はかく語りき

冒頭の運転手さんに、もう少し突っ込んで聞いてみました。でも、本当にロボタクシーが増えたらタクシードライバーという仕事自体がなくなるかもしれないですよね、それでも怖くないんですか、と。
彼の説明はなかなか面白いものでした。昔は馬車があり、その後に蒸気機関や自動車が登場した。新しい技術が古い仕事を置き換えても、人間そのものが必要なくなったわけではなく、新しい産業や職業が生まれてきた。淘汰されるのは人間ではなく職種だ、という考え方です。
そこで、ではタクシードライバーという仕事がなくなったらあなたは何をするのですか、と聞くと、最初はロボットの修理でもするよ、と答えました。ただ、当然ながら誰もが突然ロボットを修理できるわけではありません。普通の人はどうするのですか、とさらに聞いてみると、少し考えてから、それは今は分からない、電気が普及する前の人だって、その後にどんな仕事が生まれるかなんて分からなかったでしょう、と返ってきました。
最後には「杞人忧天(qǐ rén yōu tiān)」という言葉まで出てきました。空が落ちてくるのではないかと心配し続けた杞の国の人の話で、日本語の「杞憂」はこの故事が語源です。
もちろん、これは深センでたまたま乗った一人のタクシードライバーとの会話です。この人の考えを中国人全体の考えとして紹介するつもりはありません。ただ、普段深センで自動運転車やロボットが街に入っていく様子を見ている私からすると、この反応はそれほど違和感のあるものでもありませんでした。