「996」から「強制退社」へ:中国企業に広がる「反内巻」改革とEU法案の影響
おはようございます。中国深セン在住の吉川です。実は先週水曜日から東京出張中で、昨年12月に立ち上げたばかりの東京の会社の銀行口座を無事に開設することができました。それ以外にも、ECコンサル上場企業のitsumo社やクラウドファンディングのMAKUAKE、複数のベンチャーキャピタル、更にデカコーンを目指す起業家ハウスにお世話になったりと充実した時間を過ごさせています。

さて、中国の労働環境において、大きな変化が起こっています。かつて中国のIT企業や製造業で一般的だった「996」(朝9時から夜9時まで、週6日勤務)の労働文化が、急速に見直され、「強制退社」「強制週休二日制」への移行が進んでいます。
代表的な事例として、ドローンメーカーのDJIは19時退社を義務付け、オフィスの消灯や施錠による物理的な退社管理を行い、家電大手の美的(Midea)は18時20分以降のオフィス滞在を禁止、さらに食後の再出社も明確に禁止する措置を導入しました。
また、家電大手Haierは週休二日制を厳格に適用し、残業には1週間前の事前申請が必要で、1日3時間を超える残業は禁止するなど、これまでの長時間労働の慣習が大きく変わりつつあります。
こうした企業の動きは、中国政府の政策調整や社会の価値観の変化を反映したものにも見えますが、実際にはEUが新たに導入した労働規制が大きな影響を与えていることが背景にあります。特に、「EU市場強制労働禁止規則(Forced Labour Ban Regulation)」が、中国企業のサプライチェーン全体に及ぼす影響は計り知れません。この規則に適応できなければ、EU市場でのビジネスが難しくなり、多くの企業が生き残りをかけて対応を迫られているのです。
この変化は、単なる労働環境の改善にとどまらず、中国の製造業やハイテク産業全体の国際競争力やグローバル市場戦略にも大きな影響を及ぼしています。
中国企業の「反内巻」改革
大手企業が導入する「強制退社」制度
「996」の文化は、中国企業において長らく「成功の象徴」とされてきました。アリババの創業者であるジャック・マーはかつて「996は働く人にとっての幸運だ」と発言し、長時間労働こそが企業成長の鍵であるとする考え方が広まっていました。しかし、現在、その流れは完全に変わりつつあります。