「996」から「強制退社」へ:中国企業に広がる「反内巻」改革とEU法案の影響

中国の「996」文化が終焉し、大手企業が「強制退社」や「強制週休二日制」を導入。背景にはEUの新たな労働規制があり、中国企業は国際市場適応のために労働環境を見直しています。欧州との経済関係強化が急務となる中、「中欧包括的投資協定(CAI)」再開の可能性も浮上。今後の中欧関係と中国産業の行方に注目が集まります。
吉川真人 2025.03.17
読者限定

おはようございます。中国深セン在住の吉川です。実は先週水曜日から東京出張中で、昨年12月に立ち上げたばかりの東京の会社の銀行口座を無事に開設することができました。それ以外にも、ECコンサル上場企業のitsumo社やクラウドファンディングのMAKUAKE、複数のベンチャーキャピタル、更にデカコーンを目指す起業家ハウスにお世話になったりと充実した時間を過ごさせています。

吉川真人🇯🇵深セン1日1note投稿チャレンジ中
@mako_63
六本木一丁目 のデカコンハウスでマグロをたくさん食べさせていただきました😆✨
将来を担う優秀な起業家ばっかりでとても素敵な環境です。
2025/03/13 22:50
0Retweet 21Likes

さて、中国の労働環境において、大きな変化が起こっています。かつて中国のIT企業や製造業で一般的だった「996」(朝9時から夜9時まで、週6日勤務)の労働文化が、急速に見直され、「強制退社」「強制週休二日制」への移行が進んでいます。

代表的な事例として、ドローンメーカーのDJIは19時退社を義務付け、オフィスの消灯や施錠による物理的な退社管理を行い、家電大手の美的(Midea)は18時20分以降のオフィス滞在を禁止、さらに食後の再出社も明確に禁止する措置を導入しました。
また、家電大手Haierは週休二日制を厳格に適用し、残業には1週間前の事前申請が必要で、1日3時間を超える残業は禁止するなど、これまでの長時間労働の慣習が大きく変わりつつあります。

こうした企業の動きは、中国政府の政策調整や社会の価値観の変化を反映したものにも見えますが、実際にはEUが新たに導入した労働規制が大きな影響を与えていることが背景にあります。特に、「EU市場強制労働禁止規則(Forced Labour Ban Regulation)」が、中国企業のサプライチェーン全体に及ぼす影響は計り知れません。この規則に適応できなければ、EU市場でのビジネスが難しくなり、多くの企業が生き残りをかけて対応を迫られているのです。

この変化は、単なる労働環境の改善にとどまらず、中国の製造業やハイテク産業全体の国際競争力やグローバル市場戦略にも大きな影響を及ぼしています。

中国企業の「反内巻」改革

大手企業が導入する「強制退社」制度

「996」の文化は、中国企業において長らく「成功の象徴」とされてきました。アリババの創業者であるジャック・マーはかつて「996は働く人にとっての幸運だ」と発言し、長時間労働こそが企業成長の鍵であるとする考え方が広まっていました。しかし、現在、その流れは完全に変わりつつあります。

この記事は無料で続きを読めます

続きは、1660文字あります。
  • EUの新規則と中国企業への影響
  • 中欧経済関係とCAIの再開
  • 今後の展望

すでに登録された方はこちら

読者限定
中国AI業界の急成長と商業主義の狭間で:Manusの有料化が映し出すテ...
読者限定
日本に“小米之家”初上陸:Xiaomiが描くスマートライフの未来と、日...
読者限定
「Manus」の登場とその影響:AIエージェントの未来
読者限定
中国の消費者行動の変化が引き起こす高級ブランド業界の転換点:グッチの事...
読者限定
中国の技術自信が再び燃え上がる─DeepSeekからFind N5へ、...
読者限定
ラオックスを傘下に抱える蘇寧グループ破産再建—多角化と巨大債務の果てに...
読者限定
テスラ完全自動運転システムFSD、2025年に中国進出へ本格始動か
読者限定
米中対立の最前線:TikTok規制問題を時系列で解説」