中国の技術自信が再び燃え上がる─DeepSeekからFind N5へ、精密製造の新たな挑戦
おはようございます。中国深セン在住の吉川です。最近、「東京サラダボウル」を中国で視聴しています。このドラマは、外国人犯罪や事件をテーマにし、一つの言葉への理解が異国で生きる人々の人生にどれほど深い影響を与えるかを描いています。ドラマには在日中国人をはじめ、韓国人、ベトナム人、スリランカ人など、さまざまなバックグラウンドを持つキャラクターが登場し、外国人居住者の生活や葛藤に焦点を当てています。東京という都市が、ますます多文化共存の“サラダボウル”として進化していることを実感しています。
一方、深センはシリコンバレーのような発展を遂げていますが、依然として中国人主体の都市であり、国際的な多様性を強く感じることは少ないため、東京のような国際色豊かな環境が恋しく感じられます。
その中で、最近、中国のテクノロジー産業が急速に発展し、世界をリードする存在となっています。中国は国家主導の大型プロジェクトだけでなく、民間企業による技術革新にも積極的に取り組んでおり、その成果を上げています。嫦娥探査機による月面サンプル採取や量子通信技術の進展、さらには第六世代戦闘機の開発など、国家規模での挑戦が続く一方で、民間企業によるAIや精密製造技術の革新も目覚ましく、これらは中国の技術力の向上を象徴する事例となっています。
その一例として、DeepSeekという中国のAI企業があります。DeepSeekは、低コストかつ高性能なAIモデルを開発し、その技術は中国のAI産業が世界の最前線に躍り出るための大きな転機となりました。この技術は、AIを活用した製品やサービスの提供を加速させ、中国におけるAI革命を牽引しています。このような急速な進化を遂げている中国のテクノロジー産業において、2025年の到来とともに、さらに大きな技術的ブレイクスルーが見込まれています。
さてAI以外の分野で注目されているのが中国の精密製造分野における革新と思っており、象徴するのがOPPOの新型折りたたみスマートフォン「Find N5」の登場です。Find N5は、従来の製造技術の限界を超える金属3Dプリント技術(増材製造)を採用したことで、製造業に新たな時代を切り開こうとしています。Find N5の開発は、中国の精密製造業が世界市場で競争優位を確立するための大きな一歩となる可能性を秘めています。

超薄型設計と3Dプリント技術─Find N5が挑んだ限界突破

折りたたみスマートフォンの開発において、薄型設計は常に最大の課題の一つとされています。従来の技術では、スマートフォン本体を薄くすることと、その耐久性を確保することのバランスを取るのが非常に難しく、特にヒンジ部分の設計が重要なポイントとなります。折りたたみ機構においては、ヒンジが繰り返し動作するため、耐久性を損なうことなく薄型化を実現することが求められます。
OPPOは、これまでにも2012年に「Finder」、2016年に「R9」など、世界最薄のスマートフォンを市場に投入し、その革新的なデザインで注目を浴びました。しかし、折りたたみスマートフォンの設計では、単に薄型化を目指すだけでは不十分で、使いやすさや耐久性を兼ね備えたデザインが必要とされます。Find N5の開発チームは、従来の技術では達成できない限界を感じ、新たなアプローチを試みることにしました。
従来の設計では、折りたたみスマートフォンのヒンジ部分の厚さを9mm未満に抑えることが技術的に困難であり、耐久性を維持したまま本体を薄くするには、ヒンジ自体の構造や設計を根本的に見直す必要がありました。そこでOPPOは、従来のヒンジ設計を革新し、五軸四バネ構造という新しい設計アプローチを採用しました。この革新的な構造によって、従来の設計方法を凌駕する薄型化を実現し、耐久性と操作性を両立させることができたのです。

金属3Dプリント技術の導入─OPPOとBLTの連携
Find N5の開発において、OPPOが採用した技術の中でも特に注目すべきは、金属3Dプリント技術の導入です。金属3Dプリントは、従来、特注品や少量生産を前提とした技術として位置付けられていました。そのため、大量生産には不向きであり、製造業界ではあまり広く採用されていませんでした。しかし、OPPOが新型折りたたみスマートフォン「Find N5」の開発においてこの技術を取り入れることを決定した背景には、量産体制での新たな挑戦がありました。
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- 量産の壁を乗り越える──3つの技術的課題と解決策
- 中国の精密製造業が世界市場に与える影響
- まとめ
- One More Thing...
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